産業ケアマネ道③伴走者

産業ケアマネになるまでの振り返りとして、①始まり②始めの一歩と、シリーズでお話ししてきましたが、今回は、実際の『企業内での活動』についてお話ししてみたいと思います。

介護状況の把握

「既に介護をしている」「または介護未満ではあるが漠然と不安に感じている」という従業員が企業内にどのくらいいるのか?

従業員から管理職に明示されることがない限り、はっきりと把握することは難しいのが現実です。

それはなぜかというと、育児と違って介護をしているというワード自体が、そもそもあまりポジティブに捉えられておらず、職場内で積極的な話題になることが少ないことが大きい要因と考えられます。

まずは、全従業員へのアンケートを実施し、企業内の介護状況の洗い出しからスタートします。

約2割超介護離職⁉︎

アンケートを集計すると、驚く様な介護実態が明らかになります。

アンケート質問内容は、「5年以内に介護をすることになる予定はあるか?」「介護が始まったら今の企業で働き続けていけるか?」など、かなり具体的なものになります。

企業や職種により差はあるものの、私が行った複数のアンケートでは、「介護離職または、介護しやすい環境へ転職を希望する」と回答する人が全体の約2割超いる現状が明らかになりました。

また、アンケートの自由記述には、「両立の方法がわからない」「親が遠方にいる場合は離職しかない」「お金の心配がある」などの回答も多く見られます。

これからを分析し、対策を示した『アンケート結果報告書』を企業の代表や幹部の方々へお伝えするわけですが、、、、

離職希望の多さはもちろん、既に介護と両立している従業員がいる現実に直面され大変驚かれることが多く、ショックだと表現されます。

ですが、それと同時に、「まだ今なら間に合う、従業員をどうにか救いたい」というマインドに変化し、対策について検討のフェーズにはいっていくことになります。

仕事と介護の両立宣言

大切な従業員が、介護との両立に悩みながら仕事をしてパフォーマンスが下がった上、離職してしまう。こんなことを望む経営者はいません。大事に育てた人材が流出することは、企業としても大きな損失になり得るからです。

安心して両立できるための知識保持の機会を持ち、漠然とした不安から逃れ、解決の方法を共に考えたい。

そのために、外部の相談窓口=介護の保健室=産業ケアマネを導入し、企業をあげて仕事と介護の課題に取り組むことを会社の代表が〝宣言“する!

企業のトップが今ある課題に向き合い、解決に乗り出す。これが、大きなファーストステップになります。

介護の保健室

アンケートから要望の高いニーズに合わせたセミナーや座談会を企業にあわせて実施していくことで、従業員様のリテラシーの向上を図ると同時に、いつでも開かれた相談の場=介護の保健室として、個別相談を実施しています。これは、対面、LINE、zoomどの方法でも可能となっています。

セミナーでも、個別相談でも、「どうしたらできるだけ仕事を休まずに、介護を効率的に行うことができるか」「どうしても休みを取る必要がある場合の具体的な方法」などを焦点にお伝えしています。

なぜなら、従業員様からの〝生声〟から聞こえてくる「できれば、離職せずに働き、キャリアを守りたい。経済的にも困りたくない」という想いを叶えたいから。

産業ケアマネとは

私はこの仕事を『仕事と介護を通して、企業と従業員を応援する』ことだと捉えています。

だからこそ、セミナー、座談会、個別相談などで企業にお伺いし、リアルに働く従業員様の姿を拝見する度、「望まない介護離職はさせられない」と身が引き締まります。

ご縁があって携わることができた全従業員の皆様ひとりひとりが、自分らしく働きつづけてほしい。

〝時に前方で旗を振り、時に後方支援にまわりながらも、ひとりひとりの伴走者であること”

これこそが、わたしの使命であり、各企業の代表が掲げる『仕事と介護の両立宣言』に応えることになると思っています。

熱がこもってしまいました💦

大変長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。次回は、産業ケアマネ+アルファで行っている両立支援についてお話しします。